簡単に言うと、人件費が高いからです。 ...と言うとつまんないので、具体的な金額を検証してみましょう! マンハッタンの1K(Studioと呼ばれる)の家賃は安くても$1,800〜というの知っていますか? Conde Nast(出版社)の新入のアシスタントライターの日当は$400です。 2018年のニューヨーク市の最低賃金は$15.00 (従業員が10人以下の場合は$13.50)。 これを見ると時給$20-$25の人でさえ、経験値があまり高くないアシスタントレベルだと言うことが解ります。 では具体例として、シンプルな5面体の白い展示台を作ってもらうとしましょう。 それにかかるコストの内訳は... 1. 材料費(輸送代混み)...$120 2. 場所代...$50/day 3. 梱包材...$50 4. デリバリー費...$80 5. 塗装材料費...$60 6. 人件費 $40/hour (12時間、買い物&梱包時間含む)...$480 合計 $840.00(消費税混み8.875%) 普通に考えると無いわあ...ですよね。 でもこれが現状なんです。簡単な什器を一人で全部作れる人(クオリティは別として)の時給は最低でも$40、通常$45〜$60が発生します。それには技術料の他に、電動工具や道具をメンテナンスする料金や時間も含まれます。それに自営業の場合は32%が税金 として納めないといけないのでそれを考えると決してボってる金額ではありません。さらに途中でプランが変更した場合などは、もちろんその分の時間と材料費が上乗せになります。 舞台、映画やTVの撮影、展示会会場はUnion(ユニオン)と呼ばれる労働組合の労働者を雇います。 以下はそれぞれの組合員1人の平均的なレートです。(ポジションによって変動します) Javits Center (NYの展示会のメッカ) $175/hour メトロポリタンオペラ $80/hour 7時間以上の労働で$160/hour TV, 映画のアートディレクター $1,000/day 広告関係の撮影のアーティスト(カメラマン、ヘア、メイク、スタイリスト、セット等) $2,000〜/day(エージェント属)$500〜/day(非エージェント) Non-Unionや非エージェントのフリーランスの技術者やアーティスト職で、経験5年以上の人の時給は$30〜$50が基本です。フリーランスの場合は、経験値によって自分の価格は自分で決めれるので内容や拘束時間によっては、正当な金額を交渉されます。彼らの時間と知識と技術を買うという感じです。 リアルな話ですが、日本の個人や企業さんが、NYレートの下調べ無しで見積もりなどを依頼すると、まずはだいたい金額の高さに驚かれます。
「昔のよしみなんだし、安くできるでしょ〜」と言われて安請け合いするとさあ大変。 こういう場合に頼りになるのは友人やずっと付き合いのある方たち。その彼らにもディスカウントせざる得なくなり、信用を失ってしまい、将来協力をしてもらえなくなったりと、必ず自分に返って来ます。 NYでは一人一人の意識レベルの違いから、信頼できる関係を作るのは時間と経験の積み重ねなので、これだとリスクが大き過ぎます。 他にはアフターフォローの仲介が出て来たり、ついでにあれもこれもと膨らんでいったりする事です。ものを作って売るだけならともかく、サービス業務でしかも紹介した相手だともうエンドレス... そんなことで過去の経験から学んだ事を書いてみました。今はバッサリと自分の基準に沿って案件を受けるようにしています。
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中尾ユウコ青木チサトヴィジュアルデザイン/コンサルタント
2000年にオープンした3300坪の大型ライフスタイル提案型アパレルの立ち上げVMDメンバーとして出会う。その店舗専用のVMDマニュアル&システムを築きあげ、ヴィジュアル漬けの日々がスタート。 以降、究極のVMDを目指すべくそれぞれ修行の道へと撃進する。 2009年Yukoはニューヨークへ活動の場を移す。世界最古&最大の売り場面積を誇る、クリスマスで有名な百貨店のウィンドウチームに配属。作ったウィンドウ数知れず。(本当に数えれない...) 2010年Chisaは東京でスウェーデン発世界一の店舗数&売り上げを誇るあのアパレルでVMDとしてトレーナー、フラッグシップ店統括に就任。育てたスタッフと立ち上げたプラン数知れず。(計測不可能の域に達した) 数年後二人ともあっさり離職。同じところに居続けれないタイプ。 現在もVMDの領域を超えて、NYCと東京でクリエイティブなフリーランス生活を謳歌している。 Archive
7 月 2018
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